【楽天市場】送料無料化の経緯解説

2019年8月、楽天の「3,980円以上を送料無料にする」から約6カ月が経過しました。
ニュースでは楽天が叩かれ、2月10には公正取引委員から独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで楽天本社に立ち入り検査をしました。

ネット検索でも「楽天」の予測変換が「送料無料 いつから」と続くほど消費者の期待も高いようです。
今回は楽天ヘーザーの一人として、楽天送料問題のざっくり説明と個人的感想を話します。

楽天送料込み問題の大まかな時系列

  • 2019年1月30日 都内で開催された出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス2019」の講演にて三木谷浩史会長兼社長が 、仮想モール「楽天市場」の送料を統一すると発表。
  • 2019年8月1日 楽天グループが開いた「Rakuten Optimism 2019」にて、3,980円以上は送料負担0円とする送料無料ラインを発表。
  • 2019年10月初旬 楽天出店者組合の楽天ユニオン(送料無料反対派)設立
  • 2019年10月末 「沖縄・離島等」のラインを9,800円とし、制度開始を2020年3月中旬と明かす。
  • 2020年1月22日 一部の楽天出店者たちが、公正取引委員会に調査を依頼。
  • 2020年1月27日 ワークマンが2月末で楽天市場から撤退する方針を固める。1,700名の署名を提出。
  • 2020年2月13日 第4四半期決算説明会にて、「共通の送料無料ライン」の名称を「共通の送料込みライン」に変更したと発表。
  • 2020年2月14日 ディズニーストア楽天市場店を閉店
  • 2020年2月10日 公正取引委員会が楽天本社に立ち入り検査。
            楽天は「(プランに)法令上の問題はないものと考えているが、公取委の検査に全面的に協力する」とコメント
  • 2020年2月末日 ワークマン楽天市場店を閉店
  • 2020年3月5日 「楽天市場出店者 友の会」(送料無料賛成派)発足発表
  • 2020年3月6日 新型コロナウイルス問題の影響により一斉実施見送り
           
  • 2020年3月10日 公取より楽天株式会社に対する緊急停止命令の申し立てを取り下げた
  • 2020年3月18日 当初の楽天3,980円以上の購入で送料込みライン開始予定

NEW! 新型コロナウイルスの影響により「送料無料化」の延期決定!

楽天は3月6日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、店舗での人員不足などの影響が出ていることを理由として、送料無料化の延期を決定しました。

楽天ユニオンの勝又代表によると「出店者側には『新型コロナウイルスの影響や状況の変化を踏めて、5月ごろをめどに改めて方針を連絡する』」としているそうです。

NEW! 公正取引委員会からの緊急停止命令が取り下げられた

3月10日公正取引委員会は、楽天株式会社への緊急取引命令の申し立てを取り下げると発表しました。
楽天株式会社は新型コロナウイルス問題により、送料無料化の一斉開始を延期。準備が整った店舗のみで3月18日に施策を開始すると発表。

これを受けて公取では「出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば、当面は、一時停止を求める緊急性が薄れる」と判断。そして緊急命令の申し立て取り下げとなりました。
ただし、違反被疑行為に対する審査については継続するとしています。

楽天がネットショッピング業界をざわつかせているそうじゃない。
楽天で新制度が始まるのニャ。
全ショップ・3,980円以上の買い物で送料が無料!!
3月18日開始だから、あと1か月ニャ!
楽天が送料無料制度!?なぜ!!?

送料込みにする理由

わかりにくい、信頼できない価格設定の表記

これは楽天あるあるです。
商品価格重視で安さ並び替えをしますが、実際は送料込みにすると割高という商品は結構あります。


私自身、楽天で買い物をする際は必ず、自分で最安値を見つけるという作業を挟みます。

今後、送料込みの表記にするならその作業が省けます。ユーザー目線からすると嬉しいですね。

楽天の残念ポイントよね。
古参ユーザーは慣れっこだけど、他のサイトを利用してると不便に感じる人は多いのニャ。
最近じゃ、送料込み価格表記が当たり前だから楽天もそれに合わせてきたのかニャ。

送料で損をしたユーザーから残念なレビューが届く

割高な買い物をしてしまったユーザーからは「送料を含むと最高値!」「300円以下の商品で送料1,700円は詐欺」といったレビューを見ることは確かにあります。

ショップ側が商品価格を安く設定しておくことで、安値ランキング上位に入って売れやすくなる。送料を高めにしておけば利益も取れる。
このように、悪意を持って運営しているショップがいるなら許せませんよね。

送料詐欺わかるわー。
封筒に入るような送品なのに宅配便でしか配送してないって、オイオイって思ったこと何回かあるもの。

ユーザーが求めるものは最終金額がわかる表記

結局一目でわかる表記が一番です。
楽天が嫌われる由縁の一つである「わかりにくさ」を改善してくれるのは良いなと思います。
楽天もわかりやすさを何より優先して送料込みラインを設けたとしています。

わかりやすさが一番って当たり前だけど素晴らしいことなのね!

楽天 vs ショップ

全ショップで3,980円以上の買い物は送料込みとする方針に対して一部のショップが反発をしています。
それに対して楽天はこのように説明しています。

価格設定は店舗の自由に調整できる。
今までの商品価格に送料を足した表記にするだけだから、店舗の負担は増えないでしょ。
最終合計金額のわかりやすさが向上することによって、ユーザーの信頼が上がる。

「楽天新春カンファレンス2020」ではユーザーの信頼度が向上すると、流通総額が14~15%アップし、店舗にもメリットがあると説明しています。

確かに一理あります。元からショップが送料を負担していたので実質何も変わらないといえば、変わらないんです。
ただ、裏を返せば全てショップ任せという傲慢な態度とも取れます。
今まで商品ごと、ショップの方針で価格設定できていたのに、急に「3,980円以上は送料込みね」と線引きを強制されているのです。

ネットで物を売るときの最初の難関が「送料」です。
実際にネット上で物を販売したことがある人なら、必ず価格設定の難しさを経験しているはずです。
商品価格、送料、梱包費、人件費をすべてひっくるめて、尚且つ、売れやすい商品価格に設定する事に頭を悩ませます。

家電や家具といった大型商品を取り扱う店や、今まで5,000円以上送料無料、1万円以上送料無料と設定してきたショップにとって3,980円以上送料込みは大打撃になりかねません。
楽天の方針が全てのショップにとって「のめる条件」というわけではないのです。

ユーザーも大事だけど、ショップがなければ買い物できなくなっちゃうわよ。
わかりやすさを求めるのは良いことだけど、勝手に3,980円って決められると腑に落ちないショップも出てくるにきまってるじゃない。

なぜ3,980円なのか?

楽天がこれまでの販売に関するビッグデータを解析した結果が 「3,980円」でした。
CEO戦略・イノベーション室の川島辰吾は「2019年に実験した限りでは、3,980円は平均注文単価の下がりが少なく、なおかつ購買頻度が最大化されるというラインだった」と説明しています。
見た目の価格が上がるとネガティブな影響がでるのではないか、という懸念に関しては「一部にネガティブな影響があったとしても、ポジティブな影響が大きく上回ると考えて3,980円に送料無料ラインを設定した」と説明。
また、ユーザーが支払う総額は大きく変わらないと予想している。

根拠があって3,980円って料金にしてるのね。3月18日以降の楽天が楽しみだわ!

三木谷社長はやる気満々

全店舗で3,980円以上の購入で送料無料という「送料無料ライン 」に対して、三木谷浩史会長兼社長は強い意志で取り組んでいます。これまでの彼の発言をいくつか取り上げてみましょう。


「(3980円以上、送料無料を実施すると)ハッピーでない人がいるかもしれないが、これをやらないとみんなが沈んでしまう。5万店の店舗を載せた楽天という船が、激化する一方の荒波を乗り切るにはこれしかない、という思いでやっている」

「店舗の成長につながるのであれば、たとえ政府や公取と対峙しても必ず遂行する」

「わかり易い送料はお客様のニーズ、消費者保護の観点、店舗流通の維持成長のためにはこれしかないと思ってやっています」

「たとえ政府や公取委と対峙しようとも必ず遂行する」

「アマゾンに負けている理由は送料」


どれだけ送料無料に社運をかけているか、その要因は打倒Amazonという強い想いが伝わってくるのではないでしょうか。

楽天とAmazon

楽天はアマゾンとほぼ同時期の1997年に設立しました。
1997年と言えば携帯電話からメールを送れるようになったくらいの時代です。まだインターネットも普及していない時代に、インターネットで買い物をするインターネット・ショッピングモール「楽天市場」を開設して、2,000年には株式を上場しました。
なお、1997年5月には米Amazon.comは株式上場しています。

視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルの調査によると、2019年4月点のPCとスマートフォンの重複を除いた「トータルデジタル」でオンラインショッピングサービスの利用者数をみると、Amazonが5004万人(昨年同月比10%増)、楽天市場は4804万人(同8%増)と堅調に伸びていると発表しました。

Amazonの背中を追い続ける楽天。送料込みライン制度はAmazonを追い抜く企業成長への切符になるのでしょうか?

似たような企業でライバル関係の2社なのね。

若年層獲得へ

楽天はわかりやすさを追求する一つの制度として送料込みラインを設けました。
その裏には若年層もターゲットにしていこうという思惑があるのです。

川島氏は「今の楽天市場は“十店舗十色”であり、ユーザーがこれに合わせている状態だ。送料が分かりにくいというユーザーからの声は根強い。楽天市場を昔から使ってくれている人は、『さまざまな店舗の集合体なので送料が店舗ごとに違うのは仕方がない』と納得してくれるだろうが、10年、20年先を考えると、今後当社のターゲットとなるのは新しい世代フリマアプリ等が人気になる中で、楽天市場もそれら同様に『1つの大きなサービス』と捉えており、送料が店ごとに違うことがおかしいと思う人も増えた今まで楽天市場を使っていない若年層を取り込んでいくことを考えると、送料の分かりにくさはどうしても改善する必要があった

出典元: 通販新聞ダイジェスト
楽天っていうと、クレジットカードのイメージが強いから主婦とか、サラリーマンのイメージが強いわね。
送料込みは若い世代を取り込むきっかけになるのかニャ~。

Amazonと楽天のビジネスモデルは全く違う

よく比較される2社ですが、そのビジネスモデルは全くの別物です。

Amazon

Amazonは百貨店やスーパーなどの小売店と同じビジネス方法です。
消費者が2,000円の商品を購入すれば、2,000円全額がAmazonの売り上げ。

楽天

楽天は場所を貸す代わりに料金を受け取る「出店料」型です。
消費者が2,000円の商品を購入しても、2,000円はショップの売り上げになります。
その代わりに楽天はショップに売り上げのうちのいくらかを「手数料」として受け取ります。


つまり、Amazonは商品が売れるほど売上が伸び、楽天は出店舗数が増えるほど売上が伸びる。
ショップを蔑ろにするということは、楽天と共倒れという可能性もゼロではない。
それでも強行しているのは一時的な痛みと判断、長期的な勝利を強く確信しているのではないでしょうか。

似ているようで異なるビジネスモデルをしている2社が比較されるってのもおかしな話なのニャ。

1人のユーザーとしてぼやき

ユーザー目線のみで見て送料込み制度は魅力的です。比較する手間は省けるし、送料も敷居が低くなる。

しかし、Amazonに勝てるか?と聞かれれば、それはまた別の話になると思います。
Amazonは2,000円以上で送料無料。Amazonプライムなら値段関係なく送料無料な上に、配送も早い。
楽天は3,980円で送料込み。あす楽という配送サービスはあるものの、当日の正午までに注文した商品を翌日に届けるサービスなので、注文時間によってはAmazonのほうが配送は早いんですよね。

消費者目線の楽天の強みはやっぱりポイント還元。
楽天は主にまとめ買い向きサイトなので3,980円縛りは苦になりません。まとめ買いをしたらそれくらいはいきますから。
若年層にとっては3,980円は高額じゃないかなと思います。

楽天送料込みライン制度があろうが、なかろうがそこは今までと変わらずといった印象をうけました。
結局これからもAmazonも利用するし、楽天も利用し続けることになりそうですね。


ただ一番は激安、最安値、送料無料などに慣れ過ぎた結果ではないですかね?
消費者が求めるからこそ、企業が価格競争をする。この負の連鎖が、中小企業に負担を強いている。
身近なところで言えば、配達員がいなければ、荷物を分ける人がいなければ、輸送してくれる人がいなければ商品は手元には届きません。

楽天が送料無料になるのは、確かにうれしいですが、それで誰かの利益が削られるようなことがあってはいけない。
なぜなら、長期目線で全員が損をしてしまうからです。全員が良いねと言えるような制度であることを願います。