以前の記事で医療保険はあくまで手術や入院時に金銭的な補償をしてくれる保険である。
保険に加入したからと言って病気やケガをしなくなる、または完治するというわけではない。
最終的に必要なのはお金だから生活破綻する事柄に対してだけ保険は必要だ。
という話を何度かしました。
今日は、保険料を払うより健康でいられるためのお金の使い方について話します。
健康のために投資をする
- 予防医療
予防医療に投資をすることは、健康に投資することと同意義です。
投資というと、株や債権を買ってお金を増やすイメージが強いかもしれません。
しかし投資とは「利益を得る目的で出資すること」の総称です。お金だけが投資の全てではありません。
健康のためにお金を使うことも立派な投資です。5年、10年、20年。ずっと先の未来の自分が健康であるための出資なのです。
むしろ医療保険に金をかけるよりも予防医療にお金をかけるべきです。
例えば歯の価値っていくらだと思いますか?
一般的にはインプラントの相場が1本40万円が相場だといわれています。
歯の専門家の中には1本100万円という見解もあります。
さらに交通事故による歯の賠償請求額では1本80万円との判例も出ました。
歯の本数は多くて32本。そうすると歯の価値は1,280万円~3,200万円ということになります。
しかしインプラントの歯と天然の歯は全く同じか?と言われるとそういうわけではありません。
間違いなく総入れ歯やインプラントになると生活の質は格段に落ちます。
歯の価値を定義することは難しいですが決して安くはないのです。
メジャーリーガーだったイチロー選手は1日に5回歯磨きをしているのを知っていますか?
起床後、練習後のシャワー中、帰宅後、夕食後、就寝前に磨いていたそうです。
アスリートの人は一般時より2倍虫歯になりやすいです。
原因はいくつかあります。
口呼吸が多くなるため口内が乾燥する、スポーツドリンクを飲む、汗をかくことで唾液の分泌が減る、1日の疲れで歯磨きが疎かになりやすい、練習や試合で忙しく歯科に行く時間が設けれないなど。
筋肉や骨が損傷した場合、治療やリハビリでどうにかすることができたとしても、永久歯は一度失ったら二度と元に戻ることはありません。
ストイックでトップアスリートのイチロー選手だからこそ、日ごろから歯に対して意識したケアをしていたのではないでしょうか。
歯だけにかかわらず、自分の体を病気になりにくくするということが予防医療です。
予防医療は2種類 具体的にやるべきことは5つ
- 病気を未然に防ぐ
- 早期発見から早期治療に取り組む
病気を未然に防ぐ予防医療
具体的に言うと「バランスの良い食生活」「適度な運動」「禁煙」「歯の定期メンテナンス」「ストレス発散」などです。
【バランスの良い食事】
食事をしっかりとることも予防医療の1つです。食費を節約すればするほど健康は遠のいていきます。
バランスよく、腹八分目ほど食べるように心がけましょう。
【適度な運動】
やせ過ぎや肥満は健康に悪影響を及ぼします。体重が大事というよりは、筋肉量を増やすために適度な運動をするといいですね。
【禁煙】
百害あって一利なしといわれるたばこ。日本呼吸器学会は電子タバコに対して以下のような見解と提言をしています。
見解
出典元:日本呼吸器学会
1.加熱式たばこや電子タバコが産生するエアロゾルには有害成分が含まれており、健康への影響が不明のまま販売されていることは問題である。
2.加熱式タバコの喫煙者や電子タバコの使用者の呼気には有害成分が含まれており、喫煙者・使用者だけでなく、他社にも健康被害を起こす可能性が高い。
提言
1.加熱式タバコや電子タバコが紙巻タバコよりも健康リスクが低いという証拠はなく、いかなる目的であってもその喫煙や使用は推奨されない。
2.加熱式タバコの喫煙や電子タバコの仕様の際には紙巻タバコと同様な二次曝露対策が必要である。
とどのつまり「どんな形であれタバコは体に害ですよ」と日本呼吸器学会は言っています。
タバコを吸えば健康な呼吸器は弱っていくのです。
【歯の定期メンテナンス】
歯医者で歯垢除去やデンタルフロスを使った歯間掃除などをしてもらえます。
自宅でもセルフケアできることはもちろんあります。
私が使っているのはこれらの商品。フッ素入りの歯磨き粉を使ったり、自宅でもデンタルフロスを使って掃除をしています。歯間が狭いので歯間ブラシは使いにくいからいまだ使ったことはありません。
歯ブラシも1か月に1回の交換。子供の歯ブラシは毛先が広がっていればすぐ交換します。
低研磨・低刺激で歯を痛めることなく入念なブラッシングを追求した歯磨き粉。歯科医推奨No.1。
マイクロサイズの凹凸が付いた極薄ゴム素材のデンタルフロスです。歯間が狭い人におすすめです。
歯間ブラシやデンタルフロスをやってみてください。ほとんどの人は最初は歯茎から血が出ると思います。それは歯茎が腫れている歯周病予備軍です。
歯周病は万病のもとともいわれるほど恐ろしい症状です。
歯周病によってなりやすい病気は心臓病、糖尿病、肺炎、骨粗しょう症、早産などが有名です。そして歯がなくなるほどに認知症のリスクも上がるという研究結果もあります。
半年以内に歯科検診していない人は是非歯医者を予約してください。
「虫歯にならないから大丈夫」という人ほど危険ですよ。
【ストレス発散】
ストレスも健康上よくありません。過度なストレスにより体に異変すら起こします。
極端な話、仕事が死にたくなるほど行きたくないというなら転職を考えなければなりません。命や健康より大切な仕事はありません。
ストレスフリーは難しいですが、心休まる時間を過ごすことで健康に近づきましょう。
早期発見から早期治療に取り組む
どんな病気でも早期発見ができれば早く治療に移行することができます。結果的に完治までの期間が短くなったり、重度にならなくて済んだりします。
会社員の人は年に一度の健康診断があります。
パートやニート、学生や専業主婦はなかなか自分から検査しに行くということがないのではないでしょうか?
せめて30歳近くになったらがん検診や定期健康診断や人間ドックなどは毎年受けるようにしましょう。
検査を後回しにした体験談
2014年に私は卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)という病気になりました。
卵巣嚢腫とは卵巣に卵巣に腫瘍ができる病気です。時に直径20cm以上と巨大になることもあります。健康な卵巣のサイズは2~3cmですからどれだけ巨大サイズになっているか想像がつくと思います。
年齢問わず女性がなりやすい病気の一つで全生涯でみると5~7%の人がなり、腫瘍の90%は良性で残りの10%は悪性とされています。
私の身の回りでもなった人が結構多く、実母、友人と先輩の合計3人が卵巣嚢腫を経験しました。
5~7%とされているものの、体感的には20%近くに感じます。
半年以上も体の異変があったにもかかわらず検査をしない
病気が発覚する半年以上前からずっとお腹に鈍痛を感じたり、張っている感覚がありました。
それは時間が進むごとにはっきりとしていき、お腹を圧迫されたりすると不快感が感じられるほどでした。それでも私は、
と思っていました。病気だなんて一切思っていませんでした。
異常を感じて産婦人科へ その後病院を転々とする
半年が過ぎたくらいから、寝ていないと辛いほど鈍痛が酷くなり、これはおかしいとパートに行く前に産婦人科に行きました。診断結果は異状なし。
あ、パートいかなきゃ。
午後、ひとまず私は徒歩5分程度のパートへ出勤しました。
ところが道中で酷い痛みに襲われます。
まるで細くて長いピックを腰から腹にかけて貫通させて、上下左右に目一杯動かされてはまたピックを刺されるては動かされるを繰り返す強烈な痛みです。
何とか店まではたどり着けたものの、とても働けるような状態ではありません。
その時の私は痛みでしゃべることができない、立ち上がれない、冷や汗が出る。こんなの生まれて初めての体験でした。
社長に説明して急遽休みをもらい、たまたま土曜日で休みだった主人に迎えに来てもらいました。そのまま病院へ。
少し大きな地元の病院で見てもらったところ「卵巣が腫れているかもしれない」といわれました。
そこの病院には産婦人科がないため「市民病院に紹介状を書くのでそこで詳しい検査をしてください」と説明されました。
廊下の簡易椅子でぐったり横たわっている私に先生が救急車を勧めてきました。
市民病院で病名判明
そして市民病院。もうすっかり夜になっていました。救急受付から病院内に。
自分で歩けないので車いすを用意してもらいましたが、車いすの振動ですら何度もピックでグサグサ刺されている感覚です。呼吸するのも辛い状況。
若い産婦人科医に内診をしてもらった結果「卵巣嚢腫」。
しかも腫瘍がかなり大きいから、市民病院では開腹手術になると説明されました。
開腹手術となると傷が閉じるのも時間がかかるし、傷跡も残ります。私はセカンドオピニオンをしたいと申し出て、腹腔鏡手術ができるような病院を紹介してほしいとお願いしました。
若い産婦人科医の恩師が大学病院で働いている。そこならやってくれるかもしれないと言われ、紹介状を書いてもらうことに。
そうこうしているうちに痛みがスーッと引いていました。
卵巣が捻転したときには下腹部に痛みを感じます。
痛みがなくなったのなら一時的な捻転だったかもしれません。
私は自然に元に戻ったので良かったですが、完全に捻じれてしまうと卵巣に血液が届かなくなり、壊死するため救急車で運ばれる人も少なくはないそうです。
大学病院で検査 そして腹腔鏡手術は成功
大学病院で検査をして腹腔鏡手術ができることになりました。前日入院翌日手術の約1週間の入院生活。
手術は約6時間ほどかかり、全身麻酔から目を覚ますともう夜でした。
傷跡も小さいので思ったより楽。手術して翌日から歩行リハビリ開始をして2日には一人でスタスタ歩けるほどになりました。予定より1日早く退院。
左の卵巣からは約15cm、右の卵巣からは約8cmの腫瘍が摘出されました。
年齢的に今後出産も考えているので腫瘍だけを取り除き卵巣を残してもらい、それからおおよそ1年後、無事に妊娠、出産に至ります。
今回学んだこと5選
- 半年も異常を感じたなら検査しにいく
もうあったりまえ過ぎる話なんですが、自分のこととなると「なんとかなる、死にはしない」みたいな感覚で済ませてしまいがちなんですよね。
半年も続くような違和感や異常は絶対原因があります。
仮に異変を感じたときにすぐ病院に行っていたらこんな大ごとにはならなかったでしょうね。 - 病院選びは重要
一つ目に行った産婦人科では異常なし、二つ目の産婦人科のない病院では卵巣の腫れかもしれない、市民病院で卵巣嚢腫。
一つ目の産婦人科は病院というより産院に近く、子供を産むための患者さんが大半を占めている病院でした。先生も高齢のおじいちゃんだったのですが、病気の治療には不向きだったなと思います。
病院を転々としたことで診察料も時間も結構無駄にしてしまいました。
手術も病院によっては対応できるものとできないものがあるので病院選びは結構重要ですね。 - 救急車は緊急時に使うもの
今回は何もなかったからよかったものの、卵巣の壊死になる可能性もある捻転だった可能性もあったわけです。
人様に迷惑かけるとか、そんなこと関係ないと今は思います。 - セカンドオピニオンしてよかった
初めてセカンドオピニオンを使ってみましたが、先生も嫌な顔ひとつしないでいろいろ教えてくれました。
必要なデータは市民病院の先生がまとめてくれたので渡すだけ。あとは軽い検査と血液採取でトントン拍子でまとまりました。
やらないよりはやったほうがいいと思います。 - 医療保険に加入していなくても貯金があれば困らない
医療保険に未加入の私でも破産するほどの治療費を請求することはありませんでした。
それは社会保障制度を利用することができたからです。
医療費は最大でも月10万円程度です。詳しい解説は以前の記事で紹介しましたのでそちらをご覧ください。
予防医療に投資する最大の理由
健康でいたいなら健康になるための行動が必要です。それが予防医療です。
健康的な生活、定期的な健診。これが健康の基盤となります。
これは何度かお話しているのですが、医療保険に加入したからと言って病気やけがにならなくなるというわけではありません。
ましてや病気やケガが完治するような魔法のお札ではないんです。
入院1日いくら、手術1回いくらといった感じで金銭的な支援をしてくれるのが医療保険です。
平たく言ってしまえば医療保険に月千円払おうが、1万円払おうが、入院や手術保証の金額が変わるだけ。
病気になってからの心配より、なる心配のほうが大きくないですか?
病気にかかりにくい体づくり、環境づくりに投資しませんか。