いよいよ我が家のトイレットペーパーも底をつき、つい先日買いに行きました。
10時半くらいの売り場には、エリエールのお高いトイレットペーパー1種のみ。それが20個もないくらいしかありませんでした。
渋々、普段買っている値段の倍もするペーパーを買って帰宅。
店側もすぐに売り切れるため、コンテナごと商品を陳列していました。
陳列というか、もはや「そこにあるだけ」と言った感じです。
実際に品切れ状態を体感すると嫌なものですね。
そこで今日は買い溜めに走りやすい人の特徴を紹介したいと思います。
さらに過去のトイレットペーパー騒動を参考に買い溜めに走る人の行動パターンや、パニック買い騒動の収束の期間を予測します。
〇〇〇〇が弱い人ほど真っ先に買い溜めに走る
こういう経験はありませんか?
仕事がしんどいとき、深夜の帰り道にわざわざコンビニによってご褒美を買う。
ダイエット中にアクセサリーや服を多く買う。
誰でも何か我慢していると、お金を使いやすくなるんです。
つまり人間は「メンタルが弱く、ストレスが多い」という2つの条件を兼ね備えていると、一気に浪費をしやすくなります。
今回の新型コロナウイルスによる買い溜めも同じことが起こっています。
不安を煽る要因になるものを自分の意志でシャットアウトすることにより、不安を最小限にすることができます。
〇〇〇を見れば見るほどデマでも真実になってしまう罠
あなたの1日の情報摂取量を数えてみると何回でしょう?
テレビでは朝から晩まで、新型コロナウイルスの情報を発信し続けていますよね。
「新型コロナウイルス=すごい怖い殺人ウイルス」という「自分だけの真実」へと変わってはいないでしょうか。
人は1つの情報に触れる回数が多ければ多いほど、例えそれがデマだとしても真実と認知してしまう心理が働きます。
例えば複数人の知人から「トイレットペーパーがなくなるっていうから、あわてて買いに行ったの。店の在庫ももうないみたいよ。」と言われ多とします。
1人だけなら「そうなんだ」で済ませれるかもしれませんが、それが3人、5人からそれぞれに言われると「買いに行かないといけないんだ」と人を突き動かす動機となります。
その人の中で複数人に言われたことによって真実になった瞬間です。
つまりテレビ、ネット、SNSなどで情報を浴びれば浴びるほどに。検索すれば、するほどに真実を自分の中で作り上げてしまいます。
一度自分の中で真実が固まってしまうと、その人の中の真実を変えることはかなり難しいです。
しかし、情報に触れる回数が多いほど真実と思い込む心理が働くのなら、違う情報に何度も触れるようにすると、真実を変えることも可能かもしれませんね。
お金の使い方でランク付けあなたの金銭感覚をより詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。
第一次オイルショックから学ぶこと
第一次オイルショックのトイレットペーパー騒動とは
発端は1973年10月16日に第四次中東戦争を背景に、中東の原油産由国が、原油価格70%引き上げを決定したところから始まります。
すると「10月下旬からは紙がなくなる」という噂が流れ始めました。
大阪府の店舗で「(激安の販売によって)紙がなくなる!」と書いたところ、300人近くの主婦の列ができ、2時間で500個のトイレットペーパーが完売。
その後、来店した顧客が特売品がないことに苦情を呈したので、店で特売ではないトイレットペーパーを並べたものの、それもすぐに完売。
噂を聞きつけた新聞社が「あっという間に値段は二倍」と新聞見出しに書いたのが引き金となり、騒動へと発展します。
戦争という背景もあり、「原油高騰による紙がなくなるかもしれない」という集団心理から噂が各地に飛び火。
トイレットペーパーを求める長蛇の列がマスメディアにも大きく取り上げられ、さらに全国へ急速拡大。
国内の紙の生産はというと、安定しておりパニック買いが発生した後は生産量の増加も行っていました。
結果的にマスメディアの報道や、噂話によって、不安に駆られ高値でたくさんのトイレットペーパーを買った消費者はたくさんいました。
その後の国の買いだめ自粛の呼びかけの効果はなかったので、政府は11月12日にトイレットペーパー等紙類4品目を特定物資に指定。1月28日に標準価格を定め、3月に騒動が収束を迎えました。
今回もSNSの火種からマスコミ報道のガソリンで大炎上。
歴史は繰り返すのニャ~。
転売禁止もされたし、あとは自然に収束するのを待つだけなのかもね。
パニック買いをする意思決定モデル
名古屋大学が発表した論文「買い溜めパニックにおける消費者の意思決定モデル」を元にパニック買いの意思決定について振り返ってみましょう。
この論文は、1985年3月に愛知県消費生活課が取りまとめた報告書を元に、1973年10月中旬から11月上旬のトイレットペーパーのパニック買いをする意思決定を分析しています。
その意思決定を図解化したものが下記の図になります。
買い溜めにも時期があって「初期買い溜め群」「中期買い溜め群」「後期買い溜め群」「非買い溜め群」がいるとしています。
論文ではこのように分析しています。
買溜めを実行するための最初の前提条件は、特定物資の品不足・高騰の情報との接触有無である。情報との接触および注目の主要な規定因は、ひとつの情報を伝達する多様な情報チャンネルとの接触頻度であり、もうひとつは、緊急情報の受診の敏感さにかかわるものである。
情報との接触頻度に関連する要因としては「少しでも安いと遠くでも買いに出かける」など通常時の購買行動範囲の広いことや、「値打の買物を友人・知人に聞く」といった多くの友人・知人との購買にかんする対人的ネットワークの密度や、物価情報や目玉商品などの情報への欲求が強いことが考えられる。とくに、買溜めの前兆段階においては、品不足の第1次情報は、口コミ流言という形式で伝達される可能性が高いために、買物にかんする対人的ネットワークを多数有していることが、早い時期に品不足の情報とせ食できる決め手となる。
初期の段階で買い溜めしやすい人の特徴をまとめると、1円でも安いものを探すのが生きがい、多くの友人や知人がいる、情報に敏感な人です。
論文には『一般的な経済情報に関心を持ち、「ややインテリ」である可能性が高い。』としています。
また、対処行動の評価としては「初期と中期の買い溜め」と「後期の買い溜め」は中身が異なっていると言います。
初期・中期の買い溜めは安値の品物を大量に購入して得をしたいという利己的な動機が原因です。
一方、後期の買い溜めは品不足の元で必要量を確保したいという生活防衛が動機が原因となります。
非買い溜め群はそもそも十分なストックがある状態だから買い溜めする必要がないというのがひとつ挙げられます。それとは別に自分まで買い溜めをすると物不足が酷くなるという買い溜めについての倫理的・規範的評価ができるとしています。
あなたはどの段階でしょうか。
過去のトイレットペーパー騒動を見る限り、10月下旬からパニック買いが始まり、3月に収束しています。
このことから新型コロナウイルスによるトイレットペーパー不足は7月上旬ごろには解消されるのではないでしょうか。
休校や在宅勤務による買い込みも今回は重なりましたよね。これが日常となればもっと早く解消されるでしょう。
フットワーク軽すぎだニャ。
性格の長所と短所は紙一重!?短所の上手な活用術をより詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。
テレビやスマホに踊らされる原因と2つの対策方法
過去のトイレットペーパー騒動と、現代のトイレットペーパー騒動で違うことは情報伝達の早さです。
インターネットの普及、誰もが手にしているスマートフォン。これらで私たちは好きな時に好きな情報を手に入れることができます。そしてそれを拡散することも可能です。
とても便利なものですが、メリットばかりではありません。
新型コロナウイルスによるトイレットペーパー騒動はSNSのつぶやきが発端ともいわれています。
口頭での噂話なら拡散も限られたコミュニティの中ですが、不特定多数の人が閲覧できるインターネット上での噂話は、コミュニティ内での広がりに加え、多くの人に瞬く間に広がります。
一つ前の見出しでも書いた通り、初期に買い溜めする人の特徴は得をしたいのでこういった情報に敏感です。
自分の好きな情報、得たい情報を探してその投稿を読むかもしれません。
上手に情報の取捨ができればいいのですが、全員が完璧にそれができるわけではないんです。
人は無意識に自分に都合のいい情報だけを集めている
人は自分が調べた物事に対して、それが真実だと思い込む確証バイアスという心理が働きます。バイアスとは直訳すると「偏見」です。例えば以下のようなものも偏見と言えます。
- 商品を買うときにレビューが高評価のものを選ぶ
➡都合の悪い評価は見ない - 男は家族を養うもの、家事は女の仕事
➡家庭によって違う - おばさんは図々しい
➡全員がそうとは限らない - 血液型の性格診断
➡人間の性格は複雑なのに一部の状況で判断している - 容姿と性格は反比例する
➡その逆の人もいる - 性格が悪い恋人でも必死に良いところを探そうとする
➡良いところを見つけて自分の判断が正しいと安心したい
つまり、自分の判断が正しいと証明できる情報はすんなり受け入れ、自分の判断が間違っているという情報を排除する心理のことです。
現代では情報がそこかしこに転がっていて、自分に都合のいい情報をパック詰めにできる時代です。つまり『確証バイアスがさらに強化されやすい時代』といってもいいでしょう。
●確証バイアスを払拭する2つの対策方法
1つは自分が有益と思える情報を一度疑って、その真逆の意見も聞くことにより中間の意見を取り入れる方法。
2つ目は、本当に信頼できる人の客観的意見を聞くという方法です。
素直に人の言葉を取りこめるような柔軟的な大人は、あなたの周りにいるでしょうか?あなた自身はどうでしょうか?
バイアスを通して人間の行動のウソとホントをわかりやすく解説。物事の本質を見抜けるようになる一冊
後悔だらけの人生とさようなら!科学的に合理的な選択術の紹介してくれる一冊
情報や他人に振り回されると誰かのせいにしやすいからニャ。
そういうのを無くすためにも、自分で調べる・考える力は育てたほうが良いニャン。
何もやる気が起きない、自分はできないと思っている場合は、こちらの記事を参考にしてください。
個人的に思う事
こうして調べてみて思ったことは「生活水準を下げることの難しさ」と「SNSの情報拡散力」の2つです。
トイレットペーパーの品薄の初期の報道を見たとき、皆さんはどう感じましたか?
私はウォシュレットもあるし、最悪風呂で洗い流せばいいという発想でした。
要はトイレットペーパーがなくなっても「死にはしない」という判断です。
新型コロナウイルスに感染するほうが死亡リスクは上がりそうなので、買い溜めはしませんでした。
買い溜め対象が水とか食糧とかならわかるんですがね。
でも一部の人は我先にとお店に長蛇の列を作って紙類を買い占めていました。
もちろん集団心理(道徳性の低下、暗示にかかりやすくなる、思考が単純になる、感情的な動揺が激しくなる)の働きもあるかと思いますが、長蛇の列に何時間か並ぶストレスよりも、一度慣れてしまった生活水準からランクを下げることのほうが嫌だと判断した結果の行動でもあると推測します。
品薄情報がデマかどうかはさておき、その異様な光景をSNSやテレビで見て「純粋にストックが無くて買いたい人は可哀そうにな」と思って見ていました。
それと同時にSNSの使い方も考えさせられました。
テレビを視聴していても動画投稿元がツイッターというのは最近よく見かけます。
マスコミからすると取材も簡単だし、動画まで取ってある状態なので低コスト・高視聴率の恰好のネタですよね。
騒動になる経緯は『噂話 ➡ 一部地域のパニック買い ➡ SNSで拡散 ➡ マスコミによる報道』です。
1人が良かれと思って投稿した内容が、思いがけない社会現象を起こすこともあります。
今は個人が発信力を持っている時代であることも痛感できました。